岩屋寺は715年(霊亀元)に元正天皇の勅願により,行基を開祖として創建されたと言われる。奥の院は弘法大師空海が百日間の修行を積んだとの伝説ももつ。また,親鸞上人が阿弥陀堂に本尊を納めたという。19世紀の文化年間に尾張藩によって徳川の勅願所となり伽藍が整備され,山内十二坊を数えたという。もともとは天台宗であったが,昭和25年に独立し,尾張高野山の総本山となった。裏手の山を登ると石造りの五百羅漢が並ぶ。古くはなっているものの戒壇院も残る。山上には弘法大師の石仏も建つ。この寺が「岩屋寺」と呼ばれるように,奥の院に登ればそこはまさに霊場としての雰囲気が漂う。岩肌には清水が流れ,石窟の至る所に石仏があり,その数は数千体に及ぶという。時折,山間に般若心経を唱える声がこだまする。
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