平泉寺は淳和天皇の勅願によって830年(天長7)に慈覚大師円仁が開いた寺院である。円仁が最澄の弟子となり延暦寺の座主を勤めていることからも分かるように,平泉寺は天台宗の古刹として1000年以上の歴史を誇り,知多郡22ヶ村の祈願所にもなっている。1190年(文治6年)には源頼朝が父義朝の墓参の際に立ち寄り,国家安寧を祈願したという記録や,1274年(文永11)の元寇の際には後宇多天皇が本尊不動尊に異国降伏の祈願を行ったという記録があり,その時代の中央史とのつながりもみられる。本尊不動尊は,寺伝によれば円仁の作といわれ,1954年(昭和29)に毘沙門天と共に愛知県から文化財の指定を受けた。また,客殿に安置されている阿弥陀如来座像は,平安時代の彫像で,県下最古の銘があり,同じく県文化財に指定されている。 |