那須・御沢遡行(2008年11月)
年月日: 2008.11.01(土)
目的: 両部ヶ滝及び白湯山・御寶前訪問
出発地点: 湯川橋
到達最高地点: 御寶前
到達最遠地点: 同上
天気: 小雨後晴れ
歩行開始時刻: 08:30
帰着時刻: 15:25
総所要時間: 6時間55分
遭遇した動物: なし
行程: 湯川橋(08:30)〜沼原への分岐(09:04)〜(約50分の無駄歩き)〜湯川渡渉点から遡行開始(09:55)〜御沢合流点(10:26)〜白湯山参道渡渉点(10:54)〜F111:31)〜両部ヶ滝(11:57)〜湯道(12:18)〜御宝前(12:25-13:15)〜沼原(14:07)〜分岐点復帰(14:58)〜湯川橋(15:25

白湯山信仰縁の地である御寶前から湧き出た温水は御沢の右俣を流れ下り、両部ヶ滝なる瀑布下で本流筋である左俣と合流する。両部ヶ滝は左右両俣に高さ30m程度の滝が懸かる景勝地であり、Webで公開されている写真を見て紅葉の頃に訪れてみたいと思っていた。今年はちょっと時期を逸してしまったが、葉が落ちて猩々とした両部ヶ滝も良いかも。白湯山信仰の道はチシマザサに覆われて辿るのに難儀しそう。どのみち沢に下らないと滝は見えないし、両部ヶ滝の下流側にある滝も見てみたいので、最初から沢を遡行してみる。

土曜日は高気圧が張り出す過程にあり、気象庁の予報では終日風が強そうである。福島県境の山々の様子が容易に想像できる。平地は晴れていても県境では雲の流れが速いであろう。雨が降っているかもしれない。暗いうちに早出する気になれず、平日と同じ時刻に起床して県北の空の様子を確認してから出発。

那須連峰には雲がかかっており、黒磯・田島線を進むにつれて雰囲気が悪くなってくる。深山湖は白い波頭が立つほどに北風が強い。いつもならば絶対に山歩きなんかしない天候である。せっかくここまで来たのであるし、キノコでもあれば儲けものくらいに考えて、車止めのある湯川橋まで進んだ。他に車はない。山上の紅葉が終わった今、この天候で山歩きする人はさすがに居ない。

時折バラバラと雨が落ちてくる。晴れ間が覗く気配はない。昼頃から晴れることを期待して出発。谷中は風裏で比較的静か。落ち葉の香りの漂うしっとりとした林道歩きも悪くない。幸先良く林道横に大量のクリタケを発見。しかし、その後はキノコを一切みかけなかった。

湯川沿いの雰囲気  08:42 クリタケ  08:47

沼原に向かう登山道の分岐点で高度計を合わせ(たつもりだった。)、林を突っ切って御沢合流点に近道。湯川右岸の崖に出てみると、対岸にはカラマツの植林があった。地形図も見ずにてっきり合流点の上流側にいると思い込み、崖沿いに右岸の林の中を下流に向けて進むときれいな道に出た。林道から分岐するこんな道あったっけ?湯川に降りてみると水が青白かった。御沢合流点より上流側にいるはずなのに何で水が青白いのか?湯川を下って左岸から流れ込む支沢の合流点に達した。水量がさほど多くなく水もきれいなので御沢ではない。一体俺はどこにいるのだろうと思いながら支沢を遡行していくと、またしてもきれいな道と交差。ここでようやく麦飯坂に向かう登山道にいることに気づいた。アホだ。高度計を合わせ違ったようで、漫然と行動して50分の無駄歩きしてしまった。

登山道の渡渉点に戻り湯川を遡行していくことにした。湯川は水量が豊富で、決して遡行し易くはない。晴れていれば青い空と水流に紅葉が映えてきれいなことだろう(右の写真 10:08)。

御沢合流点から上流の苦土川は無色透明。御沢の水も無色透明。合流点で双方の水が合わさると青白くなる。御沢の底石は酸化鉄が沈着して真っ赤。

合流点近くの高さ数mの滝を登ってしまうと大場所はなく平凡な渓相が続く。天気は良くなるどころか雨脚が強まってきた。結構ハードな歩きのはずだが寒いので汗ひとつかかない。沢中に赤テープが付いている場所がある。おそらく白湯山の参道が渡渉する場所なのであろうが、左右両岸にそれらしい顕著な踏み跡は無い。

天気が悪くて気分が乗らず、いい加減遡行に飽きた頃にようやく目的の一つに到着。落差20〜25mくらいだろうか。水量豊富で、ヒツ沢大滝ほどではないが荘厳な滝だ。

左岸から高巻く。冷たい風が強く、手袋無しで濡れた潅木を掴むと手が悴む。高巻く途中で上流にもう一つ滝があるのが見えた。落差はたいしたことがないが直登できそうにないので併せて巻いてしまう。参道跡らしき道と出合ったがすぐにチシマザサの藪中で見失う。チシマザサの急傾斜を滑り下って沢底に復帰。上流側にもうもうと湯気が立ち上る。ようやく主目的の両部ヶ滝到着。本日は気温が低く湯気に邪魔されて左俣の直瀑はきれいに写らなかった。この辺りの紅葉は10月中旬が見頃か。

左: F2  11:31     上: 両部ヶ滝  11:57

せめて青空が出てくれればと期待していたのだが、それもかなわず残念。体が冷えてきたので早いとこ御寶前に抜けたい。左岸の急な斜面をチシマザサに掴まって這い上がると湯道に到達し、嫌らしい藪の斜面をトラバースする労から解放された。

上段左: 導管  12:16
上段中: 源泉管理道(湯道) 
12:18

下段左: 析出物  12:27
下段中: 半ば埋もれた碑
下段上: 御寶前最上部の祠

管理道は御沢右俣に架かる導管を渡って左俣方面に向かっている。時間が無いので途中で引き返し、右俣を遡行。こんな寒い日には温水が心地良い。御寶前には幾つか導水施設があって神聖な場所と言う感じはしない。温泉湧出地は析出物質もしくはバクテリアが固着蓄積したと思われる奇妙な景観を呈している。ドロドロに見えるが表面はざらざらしていて滑らない。踏むとガサッと崩れる。

析出物に碑が埋まっている。テレビで見た中国の黄龍みたい。御寶前最上部に波板で覆われた湯槽らしきもの有り。左側に潜りこんで体を浸してみた。温めのお湯で、着替え中の体が冷えてしまった。御寶前を見下ろす位置に朱色の祠がある。昔からあったものではなく、三斗小屋温泉の主が建てたものであるらしい。

御寶前からの行程には幾つかの選択肢があったのだが、既に13:00を過ぎているし、山上は氷点下の強風が吹き荒れていそう。@宇都宮さんのレポで知った湯道を辿って下山開始。この頃になって急に青空が広がり山々が姿を見せた。隠居倉の西側斜面は樹氷もしくは雪で白くなっていた。

湯道は良く手入れされていて快適。導管は現役のようだ。管理者が黒磯観光開発(株)なので、このお湯は表側の別荘地域に引かれているということか。沢筋を横切る場所が何箇所かあり、そのうち3箇所は手すりも何もない。下は岩ゴツゴツで落差は数m。若い頃この手のものに自信があったため平均台の要領でスイスイ渡ってしまったが、万が一落っこちたら大怪我は免れまい。バランス感覚が衰えていないことを確認できたので満足。いい歳しておバカするのはこれを最後としましょ。

ミズナラ・ダケカンバ林  13:48 沼原   14:07

午前中の天候がいまひとつだったためか行楽客が少ない。麦飯坂を下り、分岐点でキノコを回収して、柔らかい日差しの中快適に林道を歩いて帰着。