大倉山、三倉山(2008年4月)
年月日: 2008.04.29(火)
目的: 栃木・福島県境尾根残雪歩き
出発地点: 大川林道ゲート
到達最高地点: 三倉山
到達最遠地点: 同上
天気: 晴れ
歩行開始時刻: 05:41
帰着時刻: 15:14
総所要時間: 9時間33分
遭遇した動物: 無し
行程: 林道七千山線・湯川の橋出発(05:41)〜標高約1,350m07:49)〜標高1,600mポイント(08:34)〜大倉山山頂(10:06)〜三倉山山頂(11:1511:45)〜大倉山山頂に復帰(12:32)〜標高1,600mポイントに降下(13:09)〜チシマザサ密藪帯を抜ける(14:32)〜車に帰着(15:14

29日以降好天が続く予報だが、4月30日〜5月2日が出勤日であるため仕事に支障が出ない範囲で日帰りの山遊びしかできない。連休後半は帰省で山歩きの予定が無いので、できれば29日に栃木・福島県境尾根を歩いてみたい。前回大川林道を歩いてから2週間以上経過して雪融けが進んでいるはずであるが、残雪の現況は不明。山部さんが4月末に大倉山の尾根を歩いた時の記録では、稜線上に部分的にしか雪がない。今年も同じ状況になっていると思われたが、他に行くところを考えていなかったもので今週も大倉山をターゲットにして深山湖に向かった。深山湖に前夜に移動して車中泊。

29日早朝、空が白みかけて目が覚めた。標高1,000m以上が雲の中で大倉山の残雪の様子を確認できない(見えていたら登らなかったと思う。)。めずらしく無風で深山湖の湖面が静かだ。日中は晴れるとの予報を信じて出発。林道・七千山線に進入し、湯川に架かる橋を渡った先の広場に駐車して歩いていく。

大倉山に登るコースは2年前とほぼ同じ。今回は2年前より時期が遅いので林道に全く雪が残っていない。おそらく前回よりはるかにつらい藪漕ぎが待っていると思われた。七千山の標高1,100m辺りまでは断続的に笹薮の無い場所を辿っていけるが、標高1,100m以上は丈2.53mのチシマザサ藪の急登が続く。2年前は標高1,200m辺りから雪が残っていたのだが、今回は急登の区間に雪が残っておらずきつい藪漕ぎとなった。どこまで登ったら雪が現れてくれるのだろうと思いながら見通しのない笹薮の中を我慢して登る。たまに上方が見えるのだが、雪は見えない。この調子では当初の計画どころか大倉山到達すら無理と思われ、倦怠感が増す。中途半端に退却するのも腹立たしいので、キリの良い標高1,600mポイントまで行って景色を眺めて帰るつもりで登りを続行。ところが標高1,600mポイントの寸前で厚み1m程度の残雪が現れ、チシマザサからようやく解放されて山登りの可能性が復活。残雪は良く締まっており、壷足OK(左の写真 七千山・標高1,600m地点  08:28)。

県境の陰になって北西風に直接さらされることがなく、しかもなだらかであるため、この山域で積雪量が最も多いと考えられる。

谷間から吹き上がるガスで周囲の景色が見えず、相変わらず大倉山の様子が窺い知れない。大倉山山頂に到着する頃に晴れ上がることを期待して登山続行。標高1,700m以上の南面は山頂まで腰から胸丈程度のミネザクラ、ヤマグルマ、アズマシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、ハイマツ、イヌツゲ、ツツジ類等の猛烈な混合藪である。前回は藪下にいくらか固い雪があったのだが、今回は完全に雪が消えているので藪を掻き分け乗越えるのに四苦八苦。ガスが時折切れて西側の県境尾根が眼下に見えるようになってきたのが救いだ。頂上で景色を眺めたい一心で大倉山に登りつめた。腕は傷だらけ。久しぶりに三倉山の姿を拝む。この時点ではまだ三倉山に行く気はなかった。

大倉山山頂から見る三倉山方面  10:07

左手前が県境の三角点峰(標高1,854.0m)、右奥が福島県側にある三倉山の最高点(標高1,888m)。

県境尾根稜線は強風に晒され且つ日射量が多いために、一般に積雪量が少なく締まりがない。

西側からガスが吹き上がってくるため、西に続く県境尾根の様子は瞬間的にしか見えない。どのみち県境尾根を西に辿るには三角点峰まで行かねばならないので、三角点峰まで進んでガスが消えるのを待つことにする。尾根上の雪に締まりがなく踏み抜けるのでワカンを装着したのであるが、夏道が露出している区間が多く歩きにくい。西側に下降する場所でワカンを外して思案。西から登ってきたガスが三角点峰と三倉山の間の鞍部を勢い良く越えて東側の谷に下りていく。

県境尾根(番屋コル方面)  10:48  

ようやくガスが切れてきた。西側に下る稜線には雪無し。大倉山に登り詰めた斜面の混合藪と似た植生である。番屋コル以西も一見雪が多そうだが、良く見ると稜線の藪が露出している区間が多い。特にだだっ広い1,624mピークは笹薮が露出している。時間的には周回可能と思われる。12時時点の進行状況次第で尾根歩きを続行するか戻るか決定するつもりで藪を下り始めたのであるが、急に気が変わった。真っ白な稜線を歩きたいというのが元々の動機であって、糞面白く無い藪漕ぎが目的で来たのではない。どうせ藪漕ぎするならもう少し雪が少なくなってからの方が歩き易い。すぐに稜線に戻り、目的地を三倉山に変更。

三倉山に至る稜線は東側が切れ落ちており最後の登りも掴まるもののない急傾斜であるため、雪量が多い時期は滑落や雪庇の崩落の危険がある。今回はざらめ雪が適当に緩んでいて滑落の怖れ無し。雪庇も細っていて崩落しそうにない。壷足で楽に山頂着。

三倉山稜線  10:54 三倉山山頂から見る那須方面  11:44

日中晴れるとの予報通り、空中の水蒸気が多いために清澄度は低いもののほぼ快晴に近い。風は弱く、適温で心地良い。雲に覆われている男鹿山地以外は全て見える。南会津の見えている範囲で標高1,600m以下には全く雪が無い。今年は山菜が出るのも早そうだ。2006年7月に来たときはガスで景色が全く見えなかっただけに、三倉山からの眺めを堪能できて大いに満足。

稜線部の雪は日射をまともに受けるので緩むのが早い。帰りの苦労を軽減するため早めに下山開始。三角点峰と大倉山の間のみワカン装着。霞んではいるが赤柴山以西の県境尾根も見えるようになった。黒滝股山、上海岳、家老岳、さらに遠くには特徴のある七ヶ岳がぼんやりと見えている。標高が低くても結構雪が残っているようである。翌日も休みならば絶対に行ってしまっただろうし、周回して日帰りも十分に可能であったろう。

偏光グラスを持ってこなかったので雪面にいると眩しくてしかたがない。血統的に白内障になりやすい体質と思われるので紫外線カットの偏光グラス無しで雪面を歩くのはできるだけ避けたい。流石山方面には踏み出さず大倉山からまっすぐ登ってきた尾根を下った。藪の枝を踏みつけ易いので下りは登りに較べて格段に楽。標高1,600mポイントで荷物を確認したら意外なところから偏光グラスが出てきた。雪面歩きが終わってから出てきても遅いっちゅうの。

標高1,600mポイントから雪が南側にベロンと垂れるように残っているため、つい南に引き込まれそうになる。地形図を見て南南東方向に下る尾根を正確に捉え、高度計を見て標高1,350mで尾根を離れ、見通しの無いチシマザサ藪の急斜面を真南に降下。よくもまあこんな密藪を標高差450mも登ったものよと自分でも感心する。

標高1100mでスポッと藪を抜けて解放感を味わう。分厚い雲海を突き抜けて着陸する飛行機の如し。無事林道に降り立ち、陽光を浴びる早春の林床を眺めながらのんびり林道歩き。山菜も山野草も少ない地域であるが、一箇所のみキクザキイチゲの群落を見かけた。

帰りに深山湖ダム堤頂から大倉山を確認(左の写真 15:47)。登ったコースには雪がほとんどない。標高差約1,100m登ってそのうち残雪歩きはたったの150m。予め知っていたら登らなかったと思う。景色を眺めて報われたことで良しとしよう。