| 行程: 小屋川沿い林道の車止め(10:10)〜北峰(11:20)〜南峰三角点(11:36)〜車に帰着(12:47) 猪苗代の実家から栃木に戻る時は、9割方猪苗代湖東側の湖岸道路を南下して郡山市湖南町三代で国道294号に入り勢至堂峠を越えるルートを使用する。三代の元唐沢と唐沢の中間地点から小屋川沿いに林道が分岐しており、その右手の尾根(小屋川左岸尾根)の最高点が高井原山(981.1m)である。何年も前からこの山に興味を抱いて、ある目的を持って何度も探索する機会を窺っていたのだが、準備不足、ぬかるみにはまった他車の救援、メジロアブの猛攻等でことごとく果たせず。目的は山登りではなく場所不明の洞窟の探索である。
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| 小屋川沿いの林道起点 長さも広さも右側の谷が白河街道(国道294号)の谷に勝る。
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林道起点の道標 『右 山道、左 白河街道』と彫られている。昔、国道が整備される以前は誤って右側の山道に入り込む者が多かったのかもしれない。
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道標の傍らに建つ白い柱に船沢洞窟に関する案内が書かれている。「高井原山の中腹にあり入口の形が船に似ているので船沢という。弘法大師が護摩を焚いて儀式を行った址とされる。」 どういうわけか会津には弘法大師縁と伝えられる場所がある。弘法大師が猪苗代湖を誕生させたという荒唐無稽な言い伝えまであるのだ。同時期に都から移りこの地に仏の教えを広めた徳一の間違いではないかと思うのだが、とにかく伝承では弘法大師が会津に来たことになっている。
この案内文を初めて見たのがいつのことか忘れてしまったが、船沢洞窟を見たいと思って何度かこの谷に侵入を繰り返してきたわけである。最初は途中に案内があるものと思って車止めから林道を歩いてみたのだが、何も無いので途中で引き返した。2007年7月19日にも994mピーク中腹の林道終点まで歩いてみたが何もなかった。元唐沢の住民に知っている人がいそうだが、お宝は自分の勘で探すからこそ楽しいのだ。今回は春に目をつけた場所を探索してみる。高井原山の小屋川に面した斜面の中腹は雑木林になっており、中腹に一箇所飛び地の如く杉の林があるのだ。
地形図には小屋川を渡る支線が記されており、この支線が分岐する場所に車止めがある。高井原山側にも林道支線が延びている。今まで探索した限りでは山道らしきものは一切目にしていない。よって、まずはこの林道支線を歩いて様子を探ることにした。
スギ植林地の中の緩い登り坂を進むと、ぽっかりと開けて明るい場所に出た。左側に放棄された段々畑がある。放棄した耕作地なのに何故か道は草刈されている。大量のスプレー式殺虫剤の空き缶が置かれていた。夏の小屋川流域はメジロアブ(新潟ではオロロと呼ばれ悪名高い。)がワンワンと大発生するので当然か。こいつら血を吸わなくても最初の産卵が可能だから性質が悪い。
耕作放棄地を過ぎると茨藪の伐採跡地に出た。適当に突っ切りスギの植林地に入る。公社造林だからある意味安心して歩ける。
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リンドウ 10:20 手入れされて日光が入り込むスギ植林地にリンドウの花が咲いていた。
リンドウと聞けばエゾリンドウやオヤマリンドウの姿を思い浮かぶが、本家本元のリンドウはひっそりと咲く地味な存在だ。
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斜め上方に向かう不鮮明な踏み跡を辿ると雑木林に移る。緑の単子葉植物に覆われたかなり古い1.5m程度の幅の道がまっすぐ上方に伸び、右手に沢を意識しながら順調に登っていける。植林目的の道ではなさそうだから船沢洞窟に至る道ではないかと期待したのだが、一度尾根筋に向けて折り返した後で忽然と消えた。太い樹木が存在せず、鋸で切った跡が残っているので、地元住民が薪を取る目的で使用していた山と思われる。今は完全に放棄されている。
目的地のスギ林飛び地がどこにあるのか見当つかない。せっかくだから山頂でも行ってみるか。しばらく尾根を辿るとミズナラの大木が見られるようになりクマイザサも出現。上方から大型獣がガサガサ移動してきた。パンパン手を叩いてお知らせすると変な鳴声を発しながら遠ざかっていった。カモシカか?頂上付近の緩斜面はクマイザサ藪が深い。頂上部の平坦地は樹木の無いクマイザサの海が数十m続く。ザバザバ押し倒して樹木が茂る高みに達した。しかし、一箇所クマイザサを刈った跡があるだけで標石は無い。
高井原山って三角点があるんじゃなかったっけ?地形図忘れてきてしまったのでうろ覚えの記憶頼りだが、確か南側にピークがあったような気がする。南側にずれると嘘のようにクマイザサが消えてスッキリしている。西側はカラマツの植林地帯である。
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| 北側丘陵の南側斜面 11:26 |
南側丘陵のメグスリノキ 11:34 |
どうやら南側にも同程度の高さのピークがあるようだ。南北ピークの間は茅野になっていて、ススキやワラビの間に山グミの木が生える。久々に山グミを味わった。ここはカモシカ若しくはクマの居住地らしく獣臭い。鞍部を過ぎると再びスッキリしたミズナラ主体の林となる。
高みには福島の山にしてはめずらしく山名板有り。少し南西側に移動してみると布引山の風車群が回っているのが見えた。
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| 高井原山(二等三角点 福良山)にて 11:38 |
布引山の風車群 11:43 |
母が握ってくれたおにぎりを二つ頬張って下山開始。来たルートを忠実に辿ったつもりが、何故かどこまで下っても笹が生えている。そのうち岩が露出したスギ植林地に迷い込んだ。どうやら当初の目的地に偶然迷い込んだらしい。北側に移動していくと山襞の陰にあたる部分にはチシマザサも見られる。作業道は無い。適当に獣の足跡を追って下っていくとスギ林を抜けていつのまにか急峻な沢筋に居た。二俣の中央尾根を下っているらしい。こんな沢は山麓に存在しないし、地形図所持していないので訳がわからん。急峻な中央尾根を伝って二俣に下り、適応に沢底を下っていくと、右岸のスギ植林地に極めて古い道跡を発見。これを辿っていくと登りで見た耕作放棄地に出た。後は余裕で車に帰着。帰宅後に地形図で確認したところ、下りで迷い込んだ急峻な沢筋は水流もろとも山麓で忽然と消えてしまうことが判った。不思議な場所だ。
船沢洞窟は探し当てられなかったものの、次回探索の範囲を絞ることができたと言う意味で十分な成果が得られた。来年再び挑戦してやらん。予想以上に楽しい山歩きであった。
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