| 行程詳述の一部を削除(May
26,2009) 行程: 木ノ俣川・落合(07:10)〜ヒツ沢合流点(08:16)〜ヒツ沢取水堰(08:43)〜ヒツ沢大滝(09:44)〜大滝高巻き(10:29)〜二俣で遡行終了(11:32-11:56)〜西俣沢ヒツ沢間尾根・標高約1,550m(13:58)〜尾根下りをあきらめて西俣沢へ降下開始(14:48)〜西俣沢右俣出合い(15:58)〜西俣沢取水堰(16:10)〜落合に帰着(17:00)
関連記録
9月一杯でアユ釣りを終了し、10月からは山歩きモードに完全移行。9月20日から渓流釣りが禁漁期に入っており、釣り客はいないはず。沢歩きの単独行はどうしても荷物が多くなるが、冷え込みが厳しくない今ならビバークの装備もやや軽めでOK。まだ紅葉刈りにはちょっと早いし10月初旬は沢歩きに絶好のシーズンと言えよう。
行く先は今年2回途中まで遡行して引き返した木ノ俣川支流のヒツ沢。ある目的でヒツ沢大滝以遠を探索する。8月に見た時の様子ではヒツ沢大滝を巻くのは容易ではなさそうだった。登りは何とかなるとして下りはかなり危険と考えられるので、できれば大長山まで行って尾根を下ってくるのが良いと思われる。翌日曜日が曇り後雨の予報で、個人的にも用事があるので基本的に日帰り前提で臨む。おそらく一泊二日を要する行程であろうから、進捗と残り時間を見ながら引き返すか避難路を選択するか慎重な判断が求められよう。念のため懸垂下降の装備と最低限のビバーク装備を携行していく。
今回は行き場所をあらかじめヒツ沢に絞っていたので金曜夜の準備に手間取ることなく睡眠不足にならなかった。早朝から快晴なので朝日を浴びて気分も爽快。気持ちよく山歩きに出かけたのは久しぶり。沢歩きは格段に遭難の可能性が高いので気を引き締めていたこともあったろう。木ノ俣川沿い林道の広い終点(落合)にはつくばナンバーのジムニーが一台有り。この車は4月に西俣沢にいた釣り客のものだ。断定はできないが西俣沢奥で違法行為をしている可能性が高い。自分の車もここに置いていくのだが、渓流釣りと勘違いされそうで嫌だな。
順調に軌道跡を利用してヒツ沢合流点到着。8月はフライを投げながら遡行したので遡行に徹したときの所要時間が読めない。出発が若干遅めだったので大長山に到達するのは無理。ヒツ沢大滝が進退を判断する最初のポイントとなるだろう。
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ルイヨウショウマ 09:11 ヒツ沢取水堰以遠で見知らぬ植物を見つけた。レンゲショウマの葉に似ているが実が全く異なる(帰宅後にWebで調べてすぐに特定できた。同じキンポウゲ科の類葉升麻だった。)。
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沢底に転がる朽木にブナハリタケを見つけて採取。キノコはこれ以外ほとんど見かけなかった。ヒツ沢取水堰からヒツ沢大滝まで遡行に徹しても1時間を要した。休み無しなので釣りしながらの遡行よりもはるかにしんどい。
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ヒツ沢大滝で見たカモシカの死骸 09:44 高巻く予定の斜面に気をとられていたので足元にカモシカの死骸があるのに気づいてびっくり。
眼がきれいなので死んで間もない。この場には死肉をあさるような獣は来れないので全く傷んでいない。大きさから判断してまだ若い個体だろう。角の片方が折れていた。繁殖期を迎えてオス同士のけんかでもあったのだろうか。
君はこの山でどんな光景を見たのか。
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ヒツ沢はこの時期でも水量多く、大滝は壮麗である。
正午までに沢遡行を完了するのが不可能なことはあきらかだ。大滝を巻いて下るのは難しそうだから引き返すならば大滝の先は行くべきではない。しかしそれでは本日の主目的を達成できない。左岸のザレをチシマザサに掴まりながら50m程度登ってみた。横移動に適した傾斜もバンドも存在しない。転落しそうだ。
チシマザサと樹木に掴まりながらどんどん高度を上げて釜から100m程度の高みまで登ってから藪を横移動。この調子では握力がもたないかもしれない。ようやく小尾根を回り込むことができたがそこは猛烈なチシマザサ藪で横移動は無理。チシマザサの密藪でかろうじて支えられていた大きな岩が、薮を漕いだことで力のバランスが崩れて転がり出しチシマザサをなぎ倒してズンズンという重々しい音をたてながら谷底へ。しばしシーンとした後でドッカーンという音が響いた。怖ぇー。岩が動き出した時の居場所が悪ければ押し潰されて助からなかった。キンタマずれおこしそうな密藪を滑り下って沢底へ近づく。懸垂下降せずに沢底に降りられたのは良かったが、上流にさらに滝があるのを見て少々ショックを受ける。また巻かにゃいかんの?
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 左: 巻きの途中で見たヒツ沢大滝 09:51
上: ヒツ沢大滝の上流にあるF3 10:39
秋になるとヒツ沢にはほとんど日が当たらなくなる。小生の安物のデジカメでは周囲の様子を写そうとすると滝が白飛びしてしまう。
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| 疲れるので大滝の落ち口に行く気にはなれなかった。大滝とF3の間の日当たりの良い岩盤で初めて休憩をとる。 標高1,000から1,100mの間は避難路となるべき右岸の傾斜がきつく取り付く場所無し。チシマザサ密藪を登り返して崖のような斜面を下って大滝下に戻る気にはなれない。とにかくF3を越えていかないことには帰れないってことで、またまた左岸巻き。たいした巻きではないのだが太いチシマザサが障害となって疲労する。
幸い泳ぎを必要とする場所はない。次ぎのF4・F5も左岸沿いに移動可能。F5だったと思うが岩場をへつる場所に白い紐が這わしてあったのには驚いた。サンショウウオ獲りに使ったと思われる青い網も引っ掛かっていた。沢登のベテランしか入り込めないと思われたこの場所に繰り返し訪れている者がいるということか。いったいどうやって大滝を巻くのだろう。
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F4
& F5 11:18 |
F5を最後に渓が開けて明るい雰囲気となり標高1,100mの二俣到着。左俣・右俣ともに水量は同じくらい。直進する右俣を行けば大佐飛山に突き上げる。こちらを遡行した話は聞いたことが無い。南南西に切れ込む左俣は大長山に突き上げる。谷奥の水蒸気が濃くなって大長山がモヤッとし始めたので雲が発生するであろう。行ってみたいが既に遡行を終了すべき時刻だ。地形的に右岸尾根に避難する最適な場所なので、ここで藪歩きの服装に着替えて1,505ポイントに向けて登り開始。所要時間2時間を見込む。
取り付きからいきなりチシマザサの密藪との格闘が始まる。太さはたいしたことないがとにかく密で2m先が見通せない。掻き分けた笹を掴んで体を持ち上げる繰り返しでこのままでは体力がもたない。滝の高巻きで疲労した掌が痙攣しかけている。100mほど登ってそれ以上進めなくなった。これは困ったと思いながら尾根の西側(右俣側)に移動してみると嘘のように笹藪がない。ツイてる。垣間見た谷奥には数段から成る滝が見えた。大滝よりも落差がありそう。行ってみたいものだが、1泊しないと無理だ。もう一度やり直す気にはなれないのでたぶん行く事はないだろう。
笹薮の無い西側斜面にはたまにカモシカが通ることを示す地面の乱れがある。この後、1,505mポイントまで断続的にチシマザサ藪が現れるが、その都度西側に移動することで藪漕ぎの労を軽減できる。この尾根でも過去に人が訪れた痕跡(ポッカコーヒーの空き缶)を見た。ゴミを捨てるくらいだから沢屋ではなさそう。自分と同様に避難路としてこの尾根を選択したと思われる。
1,505mポイントに向けて登る尾根の東側は延々と深いチシマザサ藪に覆われている。東側に深い雪庇ができるのであろう。たまたま藪が薄くなっている場所で大倉山〜大峠〜三本槍岳の様子が伺えた。
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ホコリタケの仲間 13:17 地表に初めて見るキノコがたくさん生えていた。径1pくらいで胞子が飛び出る場所がほんのりと赤い。チビホコリダケともヒメホコリダケとも異なるようだが名前が判らない。
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コメツガの生える1,505mポイントと思しき場所に到達した。下るべき尾根に入るには浅く窪んだ場所を通過しなければならないのだが、樹木が少なく深いチシマザサの海になっていて突入する気になれない。さらに高みを目指そうとしてチシマザサ藪にはまり遅々として進まずあせりを覚える。ようやく標高1,550m付近で尾根上に抜けた。ここはたまたま勾配があってチシマザサが薄くアズマシャクナゲが多くみられる。西俣沢の谷の広がりを見て安堵。黒滝山方面は雲の中だが現在地の上空は晴れていて雰囲気は悪くない。
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| 標高1,550m付近 14:00 |
サラサドウダン 14:02 |
西俣沢を右手に意識しながら単調な尾根を下るだけで楽勝と思いきや、甘かった。勾配が緩く太い丈の高いチシマザサがびっしりと交差している。標高を100m下げるのに40分も要してしまった。周囲が見えないので尾根をキープするのは難しそう。一旦ずれると藪に邪魔されて方向修正がきかない。密すぎて掻き分けて隙間を作ることができない。押し倒そうとしても倒れないし、足が抜けず身動きできない。この先、尾根が平坦になれば藪はさらにきつくなるであろう。このまま尾根を進むと時間切れ体力切れ確実である。栃木県最悪最強のチシマザサ藪はここにおわしたか。尾根伝いに下ることをあきらめ標高1,450m付近から西俣沢へ降下開始。
| 西俣沢への下降路 15:16 最初は尾根上と変わらない密なチシマザサの急斜面。100mほど降下してようやく藪中に浅い窪みが現れる。窪みは土壌が薄くて笹が無いので、チシマザサの中にトンネルができているかの様。1,300m付近で涸れ沢と出合った以降は勾配一定で真っ直ぐのエスカレータにでも乗っている感じ。
クマが木から降りて逃げていった。ミズナラの枝が折れてドングリが喰い散らかされていたのでお食事中だったらしい。お邪魔しました。
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下っている斜面は日陰であるため午後3時半でも樹木の下は暗い。標高1,050m付近で水流のある沢と出合い、ここで沢靴に履き替えて慎重に下り西俣沢右俣に抜けた。なんとか十分な光量があるうちに危険な沢を脱出できそう。4月に渡渉した場所に見覚えがあったので、沢から離れて釣り人の踏み跡を辿り取水堰に抜けた。ここまで来れば確実に日没前に帰着できる。
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| 藪脱出(西俣沢取水堰上流) 16:09 |
木ノ俣発電所導水路の除塵施設 16:12 |
時間を気にしながらの藪漕ぎで精神的に疲れたものの本日の歩いたコースの標高差は約1,000mで脚に疲労感無し。雰囲気の良い遊歩道を歩く感じで余裕で駐車地に帰着。ここには湧水があるので着替え時に体を拭いてさっぱりできるのが魅力。
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| 西俣沢の発電所関連施設管理道 16:39 |
落合 16:58 |
夕闇迫る山並みを眺めながら帰路についた。木ノ俣川沿い林道を戻る際、はるか下方の川原に今朝のジムニーらしき車とテントが見えた。西俣沢からの帰り道に足跡があったので、車の持ち主はやはり密漁者だったのだろうか。
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