残雪期の枯木山(2006年3月)
年月日: 2006.03.11
目的: 枯木山登山
出発点: 湯西川・ホテル伴久の傍(標高約710m)
到達最高地点: 枯木山(標高1,755.4m)
到達最遠地点: 同上
天気: 快晴
出発時刻: 07:12
到着時刻: 16:45
総所要時間: 09時間33分
遭遇した動物: カモシカ
白滝沢右岸尾根(左)と県境尾根(右)  09:54

1,220m地点付近から見た枯木山方面。左の尾根が白滝沢右岸の尾根、左側のピークが撮影地から真西の方角にある1,467.1mピーク。中央が1,692mピーク南尾根で、白いピークが県境の1,692mピーク。右側は県境尾根で、右手前に下ってくるのが白滝沢のもちづけ橋から続く1,549mピーク南東尾根である。枯木山の姿は1,692mピークに上がるまで拝めない。中央奥にチョコンと頭を出しているのは県境の1,706mピーク。

1,692mピークから見た枯木山  12:13

枯木山東斜面はチシマザサに覆われ、雪崩が生じやすく樹木が育たない。一見してどこでも登れそうに見えるが、安全に登るには県境の稜線部から南端(写真左端)に上がるしかない。

枯木山山頂は右奥のピーク。

枯木山中央部から見た大嵐山へ続く尾根  12:45

枯木山山頂から北の大嵐山に続く尾根も魅力的。右側には土倉山、さらにその奥に七ヶ岳。

枯木山山頂  13:02

サラサドウダン(?)と思しき木に2枚の山名板が掛けられている。一枚は金属板に青い塗料で『枯』と『山』の字が残る。もう一枚は木製で文字は消失。いずれも長年の風雪にさらされて、枯木山のイメージにふさわしい。

この左にはヤマザクラと思しき木もある。枯木山は荒涼とした場所ではなく花々に彩られる場所らしい。

正面奥は高原山。

枯木山南端から見た栃木県側  13:41(帰りに撮影)

左端が1,692mピーク。右奥が明神ヶ岳。左奥に霞んで見えるのが高原山。

関連記録:
  @枯木山登山ルート探索 (2005年11月)

34日に県北の山歩きのタイミングを計るために西前高原の山歩きをした。見渡す範囲では例年に較べて雪が少ないことを確認できたが、福島県境については判断できない。福島県側は12月の積雪の貯金でまだまだたっぷり雪が残っているはず。ということは脊梁山脈あたりの積雪量の勾配が急になっていることを意味する。現状は行ってみなければ判らない。

足幅が広く普通の靴が履けないので、ここ数年は約\4,000のPRO-TEXを数ヶ月に一足のペースで履きつぶしている。所持している2足とも縫製部がほつれたり穴があいたりしていて残雪歩きには耐えられそうにない。10日の会社からの帰りに靴流通センターで新しいPRO-TEXを購入。自分に最適な靴を得て準備完了。

11日の栃木県は好天に恵まれるとのこと。12日も大荒れすることはないらしい。県境を探るのに絶好の機会到来である。昨年秋はもちづけ橋から1,549mピーク経由で枯木山に至り白滝沢右岸尾根を下って周回するつもりであった。日帰りしなければならない都合上、途中で引き返したので、今回は白滝沢右岸尾根を辿って枯木山を目指す。粗い見積もりでは登りに5時間、帰りに4時間で、暗くなる前に日帰り可能。何度もやり直す気にはなれないので、時間不足の場合は山中泊する。かなり重い装備になるので、飲料水は野菜ジュース1リットルのみ所持し、適当に奇麗な雪を頬張って水分補給することにする。当然、イオン補給が必要なので粉末のアクエリアスを所持。

湯西川は意外に雪が少なく、山々の南面は根開きが進み、標高の低い場所では地肌が露出してしまっている。ホテル伴久の手前で右折して安ヶ森林道に進入した途端、道路が雪でブロックされているではないか。除雪していない道路を歩いていくのは嫌なので手前でUターンして帰ろうと思った。雪のバリケードの前には大宮ナンバーの車が一台有り、山中に入っている人がいるらしい。枯木山に行ったと思われる。「ここから歩いていくなんてすごいな。」と思い、車を降りてバリケードの向こう側を覗いてみると、なんと道路はきれいに除雪済み。道路歩きは計画外だが、これで枯木山に挑む気持ちが復活。

07時12分 湯西川・ホテル伴久の傍から(標高約m)から歩行開始。  路面は所々凍結してツルツルだが、快適。木ノ沢側から尾根に取り付こうかとも考えたが、南面は雪が緩んでいると思われたので、当初案通り白滝沢へ向かう。道路横の雪は固く締まっているので、仮に車で進入できても停める場所探しに苦労したことだろう。

07時37分 安ヶ森ロッジ(標高約m)到着。  除雪されているのは安ヶ森ロッジまで。ここからは白滝沢沿いの道の固雪の上を歩いていく。朝の気温は0℃前後だが、踏み抜けはほとんど無く快適。雪面をよく見ると2人分の真新しい足跡有り。「おおっ、ひょっとして自分と同じルートかな?」と思ったら、足跡は最初の橋を渡らずに左岸沿いの道に続いていた。県境尾根を西進すればかなり大回りになるので、枯木山より県境尾根歩きそのものが目的のように思われた。

キャンプ場には948mピークに登る遊歩道の案内がある。積雪しているので遊歩道はあってもなくても同じ。北側斜面なので雪が固く締っているため、急な斜面ではあるが軽アイゼンをつければ直登可能。

08時37分 948mピーク到着。  鞍部は地面が露出した部分もあるが、その先は稜線上に残雪が見える。快適に進めそうに見えたが、斜面が東を向いているために朝の日光の直射で雪が緩んでスカスカ抜ける。ここでスパッツを着用。

09時01分 1,077mピーク到着。  1,077mピークまでは尾根の南側にカラマツが植林されている。次の鞍部からの登りは少し痩せていて雪を踏み抜かないように気をつかう。標高1,150m前後の急斜面は雪がスカスカで右に左に移動しながらの登り。この難所を抜けた標高約1,170mで北東尾根が合わさり、東側の眺めがなかなか良い。県境では荒海山の存在が際立つ。さらに標高1,210mまで登ると枯木山方面の県境尾根が見渡せるようになる。ここからしばらくは起伏の少ない広葉樹林の尾根となる。傾斜が無い場所は単位面積辺りの太陽エネルギーの摂取が少ないので、沈み込みが少なく快調に進める。

09時55分 1,220mポイント到着。  この辺りにワイヤー数本で支えられるように立つ枯れた大木がある。

標高1,270mの鞍部は両側の斜面が急で、雪庇が張り出していて少々危険。その次の急登は雪が緩み膝まで沈み込むが、まだかんじきは着用しない。標高1,350mまで登ると一段と眺めが良くなる。1467.1mピークまで登るとやっと1,692mピーク南尾根への接続点が見えてくる。

10時53分 1,467.1mピーク到着。  1,692mピークに11時着が目標だったのだが、1,692mピーク南尾根出合いで11時を過ぎており、既に一時間以上遅れている。ここで目標時刻を変更。枯木山からの下山開始時刻のリミットを14時に設定し、13時までに枯木山到着を目標とする。

念願だった1,692mピーク南尾根は、幅広でブナ林を基調としてミズナラやアオモリトドマツが少々混じる美しい場所。しかし、昔の切り株が残されているので原生林ではない。雪の締りがいまひとつでペースが上がらない。ここまで水分補給は残雪をときおり頬張る程度だったので、イオンバランスが崩れたらしく太ももが軽く痙攣症状を呈していた。枯木山までツボ足歩行するのはあきらめてかんじきを着用し、軽食休憩。

1,692mピークの東南斜面の雪は雪崩落ちている。無雪期の1,692mピークの東南斜面はチシマザサに覆われてツルッとしているように見える。チシマザサの葉で滑りやすく、緩んだ雪が雪崩落ちて樹木が育たないようだ。コース上には樹木が生えているので雪崩の心配は無い。1,692mピークまであと10mというところで腿が痙攣して小休止。

12時12分 1,692mピーク到達。  1,692mピークに上がってようやく枯木山の全貌を捉えた。東側斜面に大きな雪庇が発達して、数箇所で大規模に雪崩落ちている。北端の山頂まで楽に行けそうに思えたのであるが、ここからが大変だった。ちょっとした登りでも腿が痙攣して進めない。枯木山山頂付近で大きなカモシカが悠然と歩くのが見えたが、こちらはなんとも惨めな状況である。最後の雪庇を乗り越えてなんとか枯木山南端に上がった。枯木山南端には樹木が無いので、雪崩が起きる場所なのかもしれない。眺めは最高だがあまり長居したくないところだ。平坦な山頂を北に向かう。

枯木山の雪庇は概ね稜線から東にずれつつあり、雪庇東端から10m程度離れた場所でも幅50cm程度の割れ目が生じていた。深さは1.5m程度で底にはチシマザサが露出している。大規模な雪崩がいつ起きてもおかしくない状態なので、できるだけ西側斜面を歩く。今後降雪して割れ目が新雪で埋まったとしたら踏み抜けるかもしれないので注意が必要である。先ほど遠くから見たカモシカには遇わなかったが、カモシカ独特の溜め糞が残されていた。

南北に長い枯木山は起伏が少ないにもかかわらず、何度も腿が痙攣し、その度に1分程度休憩をはさむ。筋肉が疲労しているのではなく、イオンバランスが崩れてしまっているのだ。なんと山頂5m手前でも動けなくなるという有様。痙攣が始まってからアクエリアス粉末を雪に振掛けて氷菓子にして摂取したのであるが、ちょっと遅かった。

13時01分 枯木山山頂(標高約1,755.4m)到着。  南端から順調に進めば10分程度で到達できるはずのところを25分もかかってしまった。山頂には何も無いと思っていたが、サラサドウダンと思しき木に掛けられた2枚の山名板が露出していた。一枚は金属板に青い塗料で『枯』と『山』の字が残る。もう一枚は木製で文字は消失。いずれも長年の風雪にさらされて、枯木山のイメージにふさわしい状態となっている。雪がこんもりと盛り上がった山頂からは南側を除いて三方の視界が開け、南会津の山々を一望できる。無雪期は藪で見晴らしが良くないと聞くが、ということは数mは積雪しているということか。

晴れていて無風。運が良い。眺めを堪能して短い昼食休憩。

13時30分 下山開始。  昼食後、立ち上がった途端にまたまた腿が痙攣。帰れるのだろうか?しばしストレッチしてアクエリアス粉末をなめて下山開始。幸い、帰りはほとんど下りなので腿の痙攣はなかった。枯木山南端と1,692mピークの急な下り斜面は尻セードで楽ちん。枯木山南端を下る際、枯木山山頂直下で小規模ではあるが雪崩が発生するのを目撃。白滝沢右岸尾根分岐まで一時間で移動。午後2時以降は西の空が適度に曇って日射が遮られる割合が多くなり、過度に雪焼けせず好都合。

14時30分 白滝沢右岸尾根に入る。  標高が下がるにつれて雪の腐りがひどくなってくる。急斜面で尻セードしようにもケツが沈み込んで滑らない。特に、登りでも苦労した1,150m付近の斜面では、滑り降りた際にかんじきごと脚がズボッとはまる。1,077mピークから948mピークに下っていくと、左下間近にキャンプ場の雪面が見える。標高1,000m付近で北西に下っていく尾根があり、この尾根を下ればキャンプ場の奥に出られる。鞍部から948mピークに登るより楽だろうと考えて近道決定。雪の腐りがひどいが、3分の1は樹木の間を縫うように尻セードで抜けた。この尾根は登りにも使えそう。

15時56分 安ヶ森キャンプ場奥へ降り立つ。  キャンプ場の雪面には2名分の足跡あり。朝方先行した人たちが帰る時につけた足跡らしい。林道をトボトボ歩いて雪のバリケードを越えると、大宮ナンバーの車には人の姿が見えた。

16時45分 車に帰着。  「釣り人が車中泊するつもりなのかな?」と思っていたら、声をかけられた。なんという偶然か、2004年晩秋に高瀬山で遭遇したご夫婦でした。枯木山を目指したものの道を間違えて断念、日曜日に再挑戦するとのことでした。無事登頂されましたでしょうか。今度はどこでお会いすることになるのか楽しみです。