元湯林道から塩沢山へ (2003年11月)
年月日: 2003.11.14
目的: 元湯林道峠から塩沢山まで尾根歩き
出発点: 元湯林道ゲート(標高約810m)
到達最高地点: 三依山東のピーク(標高約1,300m)
到達最遠地点: 塩沢山(標高1,263.9m)
天気: 快晴
出発時刻: 07:20
到着時刻: 14:30
総所要時間: 7時間10分
遭遇した動物: シカ2頭
大塩沢源頭から見た高原山

この日は清澄度が高く高原山がくっきりと見えた。主な頂が等間隔で見える。氏家のちょうど反対から見た構図だ。高原山も標高1,500m以上は冠雪していた。

明神岳の中腹から盛んに白い煙が上がっていて西風に煽られて山頂まで達していた。ハンターマウンテンスキー場で人工降雪機を作動させていたようである。

手前の尾根の鞍部が元湯林道の新大塩沢峠である。

塩沢山山頂にて

手前は三等三角点。塩ビの山名板が一つ掛けてあった(右奥)。

三依山と塩沢山の中間地点から見た日留賀岳方面

本日はよほど寒かったのだろう。日中、日留賀岳の雪が消えることはなかった。

金曜日は終日晴れで穏かな天気が望めるとのこと。せっかくの休みなのだから山歩きに行かずばなるまい。狩猟解禁前に低山帯の山歩きができるのはこれが今年最後のチャンスである。水曜日に小佐飛山でひどい目に遭ったので、気持ち良い尾根歩きで藪山歩きを締めくくりたい。いろいろ考えた末、8日に三依山に行く時に歩いた尾根をさらに進んで三依山の南南西2.5kmにある塩沢山まで歩いてみようと考えた。尾根の高さは終始標高1,200m前後で、小佐飛山のようにひどいチシマザサの藪は無い。

急斜面を登って一気に高度を稼ぐのは苦手だ。できるだけ急登無しで標高1,200m級の尾根に近づきたい。そこで目をつけたのが元湯林道である。元湯林道に車で進入できれば標高1,050mの峠まで一気に上がれる可能性がある。峠からは標高1,100m級の尾根が北に向かい、東電の巡視路がある標高1,270mピークに連絡する。大塩沢をぐるりと回って尾根歩きだけでも直線距離にして往復9km。結構な距離だが、麓から塩沢山に登るよりはましに思えた。

元湯林道の峠に行く理由はもう一つあった。善知鳥沢沿いに北上し横川に抜ける三島街道は1884年に開通し、尾頭峠の新道開通によって1893年に廃道となったという。では、会津西街道の代替ルートの旧道とはいったい何所にあったのか?尾頭峠近辺の急斜面に旧道があったとは考えにくい。元湯を経由するならば起伏の少ない尾根伝いにあるのが自然で、ひょっとしたら本日歩く尾根に何かあるのではないか?栃木史に疎いので見当違いかもしれないが、上記のようなことを期待して塩原に向かった。

元湯林道に進入するとすぐにゲートがあって閉まっていた。仕方がないのでゲートから峠まで歩くことにした。

7時20分 元湯林道ゲート(標高約800m)から歩行開始。 路面の状態は良好。車で登れればそれに越したことはないが、勾配が緩いので歩いても気持ちが良い。今年一番の冷え込みで、朝の気温はほぼ0℃。約2kmの林道を汗もかかずに歩いた。

8時03分 元湯林道の新大塩沢峠(標高1,050m)到着。 林道の利用されている区間は峠までで、その先は踏跡程度で車は通行できない。

目的の尾根には峠から歩道が延びている。最初は林業関係者の使う道であろうと思っていたが、植林されているのは峠の近くだけで、道は自然林の中を尾根に沿って延々と続く。細い道ではあるがシカ道ではない。ササ刈りの跡もなく、今では歩く人がほとんどいないと思われるのに、窪みがあって、ササの進入を許していない。朽ちた倒木の下にも道形が残っている。昔は頻繁に人が往来していたということであろう。これは昔の街道なのだろうか?尾根の藪歩きを覚悟していただけに、この道の存在はありがたい。林道を歩いた分の遅れを挽回し、順調に主尾根に近づく。

尾根の樹木はブナ、下生えはスズタケとミヤコザサが住み分けていて、まるで教科書通りの植生。眼前には大塩沢をはさんで本日歩く予定の主尾根が横たわる。樹木が少し邪魔だが、主尾根の向こうに冠雪した女峰山がくっきり見えた。

8時52分 東電巡視路への接続点到着。 尾根伝いの道はついに標高1,270mピークの北で東電の巡視路に合流した。ここから尾頭峠に至る巡視路は昔の街道跡に設けられたのかもしれない。この時はまだ尾頭道と高原道という2つの街道の存在を知らなかった。この日辿った尾根上の道はまさに会津西街道の高原道そのものであったのである。歩く人などいそうもないのに何故明瞭な踏み跡が残っているのか疑問であったが、最近は塩原ビジターセンターが催す新緑ウォークに参加した大勢のハイキング客によるものらしい。

ここから先は8日に歩いたコースと同じである。三依山を右に見やって先に進む。ここからは未知の領域。赤テープが点々と付いているが、落葉しているので赤テープが無くとも迷う心配はない。主尾根は冬季に部分的に雪屁ができるようで、たまにチシマザサが見られるが、基本的にはブナ・ミズナラとミヤコザサ・スズタケの植生。尾根の西側にまるで登山道のような明瞭なシカ道が走っており、これを利用して順調に進んだ。しかし、西側斜面は日陰で風が吹き付けて寒い。おかげで汗を大量にかかずに済んだ。

10時11分 三依山と塩沢山の中間地点(標高1,264m)到着。 塩沢山は見えないが、その手前のピークが眼前に見えているので近づいていることを実感する。

10時46分 塩沢山(標高1,263.9m)到着。 随分と遠くまで来たものだ。寒いのであまり疲れず、ここまで休憩無しで歩き通してしまった。これほど長い区間を順調に尾根歩きできて気分爽快である。小佐飛山の嫌な記憶を吹き飛ばしてくれそうだ。

塩沢山はピークというより標高1,200級の尾根の突端である。このため、樹木に囲まれてはいるが落葉時には周囲が良く見える。特に高原山が間近に見えてなかなか良い。赤テープは西側の尾根の下方に続いていた。

11時20分 塩沢山出発。 昼食を摂って出発。まだ行程の半分なのである。帰りは往きと光線の当たり方が逆なのでシカ道を視認しにくい。足をくじかないように慎重に歩く。

帰り道、男鹿山地の全容が良く見えた。長者岳や小佐飛山まではっきり見える。男鹿山地の山々の位置関係をこれほど良く把握できる場所は他にない。

12時59分 東電巡視路への接続点帰着。 今日初めて腰を下ろして小休憩後、元湯林道へ至る尾根を戻る。この尾根は風が当たらず、午後は日が当たって暖かい。ある場所で道に直径2cm程度の小さなリンゴ状の果実が落ちていた。かじってみるとすっぱいがまさしくリンゴの味。上を見ると大木に幾つも実がなっていた。めずらしい野生のリンゴの大木が何本も存在しているのである。昔、旅人がここで休憩した際に吐き出したリンゴの種から生長したものであろう。

13時50分 元湯林道の峠(標高1,050m)帰着。 峠の反対側を少し調べてみた。一度は林道として整備されたが今は廃道で放棄されてから長い年月が経っているようである。道のど真ん中にスズタケが生えていたり巨木が転がり落ちていたりする。塩原側は植林されているが、反対側には植林が一切無く利用価値が無いためであるようだ。元々人の往来もないのであろう。

14時30分 歩行終了。 

目的を達成できて大いに満足である。私にはこの類の尾根歩きが一番合っているようだ。元湯林道から北に向かう尾根は、少し整備すれば塩原でも一級のハイキングコースになると思う。今年の藪尾根歩きはこれで終了とし、来春再び禁猟となるまでは近場の山の正規の登山コースを幾つか歩いて暇つぶしすることとする。

この後、元湯と新湯を経由して富士山の麓に行ってみた。大沼側の自然散策路の駐車場には他に車が無く、誰もいないようなので、良い機会だと思って杖だけ持って登ってみた。溶岩ドームが砕けたような山で、岩がごろごろしていて苔むして歩きにくい。新湯から上る空気が山の東側に回りこんできて硫黄臭かった。頂上まで一気に登ったが、冷え切った手がなかなか温まらない。悲しいかな、齢を重ねるごとに代謝は確実に下がってきているようだ。山頂は意外に複雑で、ピークらしきところを全てまわってみたつもりだが、何故か三角点が見つからない。一番高いと思われる場所に「地籍調査」と書かれた標柱があり、赤白のポールが立っている。麓から往復約45分。初冬の冷たい空気と樹間から射しこむ柔らかな夕日が印象的であった。

後日、ノラさんから塩原富士の三角点の場所を教えていただきました。次回は新湯の方から登って三角点を確認してこようと思っています。