| 釈迦ヶ岳の登山道を確認できたので、黒沢の探索を次の目標に据えた。林道黒沢線から尚仁沢林道に向かう連絡路に入ってすぐ左に、工事用の車道があり、その終点に砂防堰堤がある。ここが出発地点である。この辺りでは滲みだした伏流水でわずかな流れがあるが、上流に進むにつれて徐々に細くなり、最後は完全に涸れ沢となる。道は無いが、危険な場所も無い。倒木や岩の隙間に足をとられないように気をつけていれば大丈夫である。 この日、沢底にはカタクリが可憐な花を咲かせていた。そのほかの植物としてはヤシオツツジが若干見られる程度で、特筆すべきものはなかった。しばらく遡ると、沢が2つに分岐する場所がある。左が黒沢で右はその支沢である。4月3日に釈迦ヶ岳に登った帰りに下った尾根はその間にある。ここを過ぎても沢の景観にはさほど変化が無い。若干、笹薮が深くなる程度である。そのうち、沢の右上から重機の音が響いてきた。見上げるとカーブミラーが見える。目新しい物に出会わぬまま釈迦ヶ岳林道まで来てしまった。林道の修復工事が行われているようだったので、すぐには林道に上がらず、さらに数百m遡って釈迦ヶ岳林道の橋が架かっている場所で林道に出た。この橋の上に砂防堰堤が一つある。黒沢探索としては、今しがた歩いてきた区間(2.5km)よりも最奥部の方が面白そうだったが、車まで戻ることを考えて止めた。
同じルートを下って車に戻るのはつまらないので、遠回りは覚悟で釈迦ヶ岳林道を下ることにした。林道は土上平放牧場の最上部を縁取るように走っているのだが、放牧場の中に通じる道は無い。放牧していない時期は登山者に開放してくれても良さそうなものだが、そのような配慮は無い。林道は真っ直ぐ西に延びていて、どんどん放牧場から離れていく。このままいくと釈迦ヶ岳林道の起点まで行ってしまうことになるが、春の陽気のせいか、それでも構わないという気になった。そのうち、林道の分岐点に至った。真っ直ぐ南の東立室に向かっている方は釈迦ヶ岳林道ではなさそうだったが、道の状態は良く、利用者がいることを示していた。方向としては近道なので迷わず南に向かった。
道は土上平放牧場の西端にある浅い谷に沿って走っており、左手に土上平放牧場が良く見える。このままいけばうまく土上平放牧場の下手に出られそうだなと思っていたら行き止まりになってしまった。林道は全て麓から尾根沿いに上に延びていると思いがちだが、高原山には結構このパターンが多い。仕方がないので笹薮を掻き分けて谷を越え、土上平放牧場の西端に出た。しばらくは有刺鉄線に沿って歩いていたが、次第にこの鉄線に腹が立ってきて、途中から放牧場の中に入り込み近道してしまった。
この日歩いた黒沢の2.5kmはカタクリ以外は見るべきものがない。このため入り込む人が少なく、シカの越冬地なっているようである。
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